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弁護士コル先生のコラム

弁護士コル先生の『ためなる』コラム ~その52~

公開: 2023年3月15日 執筆:弁護士コル先生 サイト構築:yafuoo 元記事
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印鑑の重要性について、契約書や押印書類を確認しながら法的な意味を慎重に検討している法律相談の場面

印鑑の重要性~2段の推定とは~


押印済み書類や印鑑を見ながら、印鑑の持つ法的な意味を整理している様子を表した挿絵キャッシュレス・ペーパーレスと共に印鑑レスも最近話題にはなってきています。 実際、例えばクラウドサインのように、ネット上での契約であれば、書面に印鑑をつくという昔ながらのやり方ではなく、双方が同意したことをクラウドサインのような会社が証明するという形で有効な契約、ということになると思います(実際に、訴訟でネット上での契約の有効性を争われた経験はありませんが…)

一方、以前別の記事でご紹介した歯科矯正のモニターの訴訟では、被告側(運営会社側)の主張として、会社の判子が偽造されている、といった主張がされているようです。

契約書に判子の押印(または署名)が存在する場合、民事訴訟法228条4項により、その文書の真正な成立(=当事者の意思に基づいた契約書であること)が推定される、とされています。 これを『2段の推定』と言います。

まずは、民事訴訟法の規定を確認しましょう。

民事訴訟法228条4項: 私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。

条文を読むと特に二段階の推定にはなっていませんが、実際の訴訟においては、下記のように二段階で検討されることになります。 ① 印影が本人の意思に基づくものであることが証明されれば、その印影の作成は本人の意思によるものであることが推定されるという経験則 ② 人は簡単には自分の判を文書には押さないものであるという経験則

①については、まさに歯科矯正訴訟で被告会社側が主張しているような印鑑の偽造のような場合です。

もっとも、偽造されたということを立証するのは容易ではないとは思います。 実際のところ、音声データなどから被告会社の代表取締役がモニター報酬のスキームについて知っていたことは明らかになっていると考えられますし、今回の主犯格とされている歯科医師(本人はツイッターで関与を否定)も運営会社の代表が主導していたことからすると、偽造された、というのには無理があるのではないかというのが感想です。 確かに印影は違うようですが、誰がどのように偽造したかの説明がないと被告側は厳しい立場に立たされるのではないかと思います。

また②の推定については、特に専門知識のない方が押印してしまった場合に「文書の内容をよく確認しなかった」という主張がなされることがあります。

もっとも、上記の通り条文上真正な成立が推定されますので、これを覆すのは中々に困難を伴うことは間違いありません。 ありていにいえば、裁判所は契約書に押印がなされていることを以て、その契約書の真正な成立を認定できることになるのです。

『押印』という作業がネット上のものになっても恐らくその前提は変わらないでしょう。

少し難しい話をしましたが、端的に言えば、押印が法的に重要だということをご理解の上、注意して行うようにしてください、ということです

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