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弁護士コル先生のコラム

弁護士コル先生の『ためなる』コラム ~その53~

公開: 2023年3月30日 執筆:弁護士コル先生 サイト構築:yafuoo 元記事
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コントロールド・デリバリーという捜査手法について、事件資料や手続の流れを確認しながら慎重に検討している法律相談の場面

コントロールド・デリバリーとは?


捜査資料や事件の流れを見ながら、コントロールド・デリバリーの意味を整理している様子を表した挿絵先日、モデルの道端ジェシカ容疑者が、MDMAを所持していたとして麻薬取締法違反で逮捕されたニュースが世間を騒がせました。

この際、一般の方には聞きなれない単語が飛び交っていたかと思います。 それが、今回ご説明する「コントロールド・デリバリー」というものです。 今回は空港で15錠のMDMAが発見されたものの、これをその場で押収するのではなく(違法薬物ですから、警察は当然にこのMDMAを空港で押収することが可能です)、敢えてそのまま配送させて、届け先のホテルで道端容疑者を現行犯逮捕した、ということのようです。

いわゆるおとり捜査の一環として行われるものですが、どんな場合にも認められる操作方法というわけではありません。

コントロールド・デリバリーは、空港などで押収されていれば、警察が当該購入者(今回の件で言えば道端容疑者ともう一名)の家に行くこともなければ、ましてや(少なくともこのタイミングで)逮捕されることはなかったことを逮捕可能にしてしまいます。 犯罪の抑止という意味では大きなプラスではありますが、反面被疑者のプライバシーが害されていることに注意を払う必要があります(被疑者=犯罪者ではありませんし、犯罪者にも人権はあるということに留意しなければなりません)。

そのため、コントロールド・デリバリーについては… ・ 公道上で逮捕する場合であれば問題なく任意処分(=令状が不要な処分)が認められます。 ・ 住宅の内部については、違法となる可能性があるといえます(=個別具体的な根拠が必要になるでしょう)。 もっとも事案ごとにコントロールド・デリバリーを実施する必要性と、追跡による対象者のプライバシー侵害の程度、犯罪被害の拡大ないしその虞等を検討することになると思います。

今回は追跡した場所がホテルであることや、MDMAというコントロールド・デリバリーを行うのに適した犯罪であること等からして恐らく問題ない捜査、という判断だろうとは思います。

コントロールド・デリバリーやおとり捜査は司法試験の刑事訴訟法でよく聞かれる論点ですが、実務に出てからは中々お目にかかれない捜査方法です。

上記したように、個別具体的な事案によってその違法性が変わってくることになると思いますので、色々条件を変えてみて、当該操作方法が違法になるか検討するのもいいでしょう。 違法収集証拠、ということになれば、当該MDMAは証拠能力を失います。

ニュース記事によれば道端ジェシカ容疑者は容疑を否認しているものの、同室にいた男性がいろいろと供述しているようです。 もちろん、単に居合わせただけ、ということであれば、不起訴になると思います。 同室にいた男性の証言がどこまで踏み込んでいて、かつ、どの程度の信ぴょう性があるかが今後争点になりそうです。

被疑者の知名度は別として、今後の行方に注目したい事件ではあります。

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