謝る?それとも判決?~法律論と感情論~
あるハラスメント事件で訴訟にまで発展してしまったケースがありました。
部下からパワハラで訴えられ、損害賠償請求をされている方が私の依頼者です。
ご本人の主張としては、当然ではありますがハラスメントにあたる行為は一切していない、あくまで指導である、というものです。
ここまではよくある主張の応酬だと思います。
既に訴訟になっているので、一応の主張・立証も尽くされた場合、特に尋問跡が多いですが、別の記事でもご紹介したように十中八九裁判官による和解勧試が行われます。
こちらは被告ということから、和解の話をする場合にはどうしても一定の金額の支払は必要となります(支払額が0円では、先方にとって和解するメリットがありませんので当然です)。
今回の場合、実際にパワハラ防止法の規定する要件に該当するパワー・ハラスメントに該当する行為があったかは疑わしい、というのが裁判所の心証でした。
もっとも、控訴されるリスクなどを踏まえ(控訴されれば、別途弁護士費用も発生してしまいます)、一定の金額を支払う内容の和解を提示することにしました。
和解協議は通常、それぞれの代理人(本人が同席している場合は本人も)が交互に裁判所と協議を行います。
この事案では先方との協議が30分以上にもわたり、非常に長い時間を要していました。
我々が、次に裁判所との個別協議に入った際の、裁判所からの説明は概ね以下のようなものでした。
・和解の金額については大きな差はなく金額面の隔たりはない
・ただし、原告(パワハラがあったと訴えている側)は被告(当方)がパワハラの事実を認め、原告に謝罪することを求めている
という説明でした。
さて、ここがややこしいところです。
弁護士の立場からすれば、形式的にパワハラを認め、文書または対面で謝罪してしまい、本件を終局的に解決した方がご本人のためになると思います。
この場合、文書で和解するのであれば和解調書に「被告は原告に対し、●●の事実がパワー・ハラスメントに該当するものであったことを認め、陳謝する」といった文言を挿入するだけでいい、ということになると思われます。
しかし、ご本人はこれに中々納得しません。
もちろん、当方の主張はパワー・ハラスメントはなかった、というものなので、ご本人の主張と異なる和解内容、ということは私も重々承知しています。
仮に、謝罪文言を挿入したとしても、口外禁止条項を付けることでご本人がパワハラをしたことについて、不必要に第三者に知られることもない、といった説明もしたのですが、最終的に、依頼者の方がこの点については納得されず、和解は破談になってしまいました(私としても、依頼者を必要以上に説得することはできませんので…)。
終局的な解決を早期に諮るか、納得にこだわるか、非常に難しい場面でした。
最終的に判決言渡しになるわけですが、その結論が気になります。