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弁護士コル先生のコラム

弁護士コル先生の『ためなる』コラム ~その110~

公開: 2025年12月1日 元記事(準備中)
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相手方の主張をどう崩すかについて、提出資料や反論ポイントを確認しながら慎重に検討している法律相談の場面

過半数株主の地位を取り戻しても・・・


提出資料や反論メモを見ながら、相手方主張への反論を整理している様子を表した挿絵会社関係の紛争の中で、株主の地位確認訴訟(=会社の支配権争い)があります。

上場しているような大企業でこういった争いが勃発すれば、もちろんニュースになりますが、日本の企業の大部分を占める中小企業でのこういった争いは、中々公になることはなく、水面下で問題が勃発していることがほとんどです。

典型例は、ワンマン社長がなくなった後の相続権の争いでしょうか。

今回の事例は、その典型例ではありませんが、元々の株主だった方からのご相談で、従業員に会社を乗っ取られた、という事案でした。

元々株式の一部を有していた従業員の方が依頼者の承諾なく、会社に増資を行い、その増資された株式に基づき、自らを代表取締役に選任して事業を行っていました。それに気づいた依頼者が増資された分の株式の発行についての無効を求めたのが具体的な事案の内容です。元々勝ち筋の事案だとは思っていましたが、交渉で決着することはできず、提訴に至り、既に尋問も終了しています。

さて、本件については尋問も既に終了しているので、当方に有利な形での心証が示された上で、和解協議が行われています。当方依頼者と従業員の方の感情がもつれにもつれているので和解協議は難しいのかもしれません。

ここで、仮に判決となれば、その後は(控訴されるか否かは横においておくとしても)当方依頼者が臨時株主総会を招集し、当該従業員の代表取締役の解任、及び取締役の解任手続を採り、会社の支配権を戻すことになると思われます。その上で、必要があれば、会社株主として当該従業員の方に会社法423条に基づく責任追及(場合によっては刑事手続)を検討することになると思われます。

法的にはこれで完全勝利です。もっとも、ここで新たな問題が発生しかねない事態が発生してしまいました・・・。

というのも、交渉→訴訟で、現時点までに実質的に会社を乗っ取られてから2年以上が経過しています。会社はその間も動き続けていたわけで、当該従業員の方が連帯保証人となった上で、金融機関からの借り入れを行い、事業が継続されていました。

通常、金融機関からの借り入れにおいては、代表取締役が連帯保証人となり、この代表取締役に変更が生じた場合には、金融機関にその旨を通知しなければならないと、契約書上定められています。そして、多くの場合、代表取締役が変更された場合には、連帯保証人も新しい代表取締役への変更を求められます。

今回の場合、億単位の結構な金額について従業員の方が連帯保証されていました。問題は会社を取り戻した後の代表取締役をどうするか、です。億単位の与信が受けられる方、なるとその対象がかなり限定されてしまします。つまり、代わりの代表取締役を用意できないと期限の利益を喪失し、億単位の金額を一括請求される事態に陥りかねません。

上記のとおり、法的には完全勝利なのですが、この事情により、会社を本当の意味で取り戻せるか、については暗雲が垂れ込んでしまった、と言わざるを得ません。別の道の和解の検討も必要かもしれません。

せっかく、裁判所から有利な心証を頂いているのに、難しい事態になってしまいました・・・。後は依頼者がどう判断するかですね・・・。

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