契約自由とその例外
かなり昔になりますが、一部の例外を除き、契約書がなくても契約は成立する、といった記事を書いたと思います。
そして、その記事内で、契約書というのは、揉めたときのリスクヘッジだ、ということもお伝えしたかと思います。
これは契約の形式の話ですが、今回は契約の中身について、少しお話したいと思います。基本的に行政がかかわらない部分について(=これを私人間といいます。)においては、どのような内容の契約を結ぶのも自由、とされています。これを契約自由の原則、といいます。
もっとも、例えば人を殺したら●円、といった契約は、公序良俗違反(民法90条)で無効となるように、強行法規については、一定の縛りはありますが、基本的には自由です。なにも定められていない事項については民法や商法が適用されます。
しかし、世の中には、圧倒的な格差がある私人(法人も含みます。)同士で契約をする場合があります。例えば、会社と従業員がその典型例です。従業員は会社から賃金(=給料)を得て生活します。会社が賃金を支払わなければ、従業員の生活は成り立ちません。そのため、従業員に対して会社が圧倒的な力を有している、ということができます。そこで、労働基準法や労働契約法等のいわゆる労働法規が適用されるために、簡単に労働者を解雇できない、給与を減らせない等労働者にかなり有利な法律制度になっているのです。
来年の1月からは取適法という法律が施行されます。これは今までは下請法という名前だった法律がその適用範囲を大きく広げることになったために名前が変わるものです。この取適法も、格差を是正する法律です。つまり、企業と企業(これが企業とフリーランスの関係になると、既に施行されているフリーランス特別法が適用されることになりますが、趣旨は同じです。)の間に圧倒的な差がある場合に発注者が受注者に対して無理難題を言ったり、金額を一方的に引き下げ、これに応じないと取引を打ち切るといった交渉を行わせることを禁止することが定められました。厳密にいえば、今までも下請法により規制はされていたのですが、その適用範囲が発注者も受注者も資本金基準で定められていたものが、従業員の数基準で適用もされることになったのです(以前は株式会社を設立する資本金が1000万円以上といった定めがありましたが、現在は資本金1円でも設立できてしまうので、時代の流れに沿った変更といえます。)。
契約自由の原則を前提としながら、このように法律が弱者を守ることも図っています。我々弁護士としては、契約書チェック等で契約自由の原則とこういった強行法規を意識する必要があります。法律が変わるとまた勉強しなくてはいけないので、あまり頻繁に法律を作ったり変えたりはしてほしくないのですが・・・まぁでもアップデートしないと我々が間違ったアドバイスをしてしまいますので、勉強しないといけないですね笑