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弁護士コル先生のコラム

弁護士コル先生の『ためなる』コラム ~その57~

公開: 2023年6月2日 執筆:弁護士コル先生 サイト構築:yafuoo 元記事
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日本語の難しさと法律用語の落とし穴について、条文や言葉の意味を確認しながら慎重に検討している法律相談の場面

日本語って難しい~法律用語の落とし穴~


法律用語や日常用語の違いを資料で見比べながら、意味のずれを整理している様子を表した挿絵先日、自己破産についてのご相談を受ける機会がありました。 私が普段あまり破産をやらないので、ちょっと混乱してしまった日本語の用法のお話です。

自己破産は簡単に言えば、自分の財産に比して負っている債務(基本的には借金)が多いことから、裁判所の許可をもらってその債務を自然債務(必ずしも法律上返さなくてもよい債務)にしてもらう手続のことです。

この際に、免責決定という決定が裁判所に出してもらう必要があります。 (破産の申し立てをすると、まずは破産開始決定が出ます(これがよく法人の破産でニュースになるときの破産手続が開始された、というヤツです)。もっとも、この後裁判所の審査があり、最終的に免責、つまり債務の責任を免れるかどうかが決まります。)

仮に免責決定が出ず、破産開始決定だけが出ている状態になってしまうと、申立人は破産のデメリットである金融機関からの信用を失ってしまった(そのためクレジットカード等も作れない)という状態であるにもかかわらず、債務は引き続き負わなければいけないという最悪の状態に陥ります。 申立人の依頼を受ける弁護士としては、その状態は最も避けなければなりません。

では、どういった場合に免責にならないか、というのはもちろん破産法で決まっています。具体的には破産法253条1項各号がこれを定めています。その中に「破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」というのが破産法253条1項2号で定められています。 ここでいう「悪意」というのが厄介なのです。

通常、法律用語で「悪意」というのは当該事実を「知っている」ことを意味します。 よく出てくるのは「悪意の第三者」といった形です。 また、不法行為に基づく損害賠償請求権の要件には「故意又は過失」(民法709条)とあります。 一見すると、「故意」が認められれば当然にわざと起こした不法行為、となるので「悪意」には該当するように読めます。

ところが、破産法のいう「悪意」とは、一般的な民法の悪意ではなく、単なる故意ではなく、積極的な害意とされています。つまり、単なる故意+αで相手方を積極的に侵害する意思まで必要、とされているのです。

法の趣旨からすれば、基本的には破産者の人生をリセットしてあげよう、というものなので、当然に非免責債権の幅はある程度狭くなければならないのは理解できるのですが、今回のご相談者の方が故意による損害賠償請求で判決を受け、負けたので破産したい、とのご相談でしたので、一瞬「!?」となってしまいました…。

解釈が色々あるのは日本語の良いところでもありますが、できれば統一してもらいたいものです(特に法律においては…)。

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